枕石漱流

第4章 奥入瀬川水系の水力発電所

はじめに

 奥入瀬川水系には十和田発電所、蔦発電所、立石発電所、法量発電所の4つの水力発電所があります。これらの発電所における最大総出力は50,700キロワット(kW)で、1年間の発電電力量は約2億1千万kWhになるようです。この電力量は一般家庭約6万3千世帯の1年間の電力消費量に相当します(ちなみに、十和田市の令和5年8月末時点の総世帯数は28,135世帯となっています)。

1.十和田発電所

 十和田発電所は、十和田湖の水および奥入瀬渓流支川水を利用して発電を行なっています。湖水は青橅取水口で取水し、13kmのトンネルを通って発電所(写真4--1)に送水され、落差181.3mを利用して発電されます(発電機3台、最大出力31,100kW)。ソスペ川、小幌内川、大幌内川、黄瀬川およびその二次支川(橇ヶ瀬沢、二ノ沢、鍋倉沢、滝ノ沢)、ならびに蔦川およびその二次支川(重沼沢、蔦沼川)の水は、十和田湖水面(標高400m)より高い標高に設置された取水口から取水して上記トンネルに導入され、湖水と一緒に発電に利用されます。十和田発電所は奥入瀬渓流の十和田橋から1.5km程上流の左岸にあり、発電に利用された水は奥入瀬渓流に流入します。従って、十和田湖から出ていく水は、子ノ口から奥入瀬川に直接流出するものと、青橅取水口からトンネル・発電所経由で流出するものがあります。湖水の子ノ口と青橅取水口からの流出割合は1:3で、後者の方が多くなっています。十和田湖の水位が下がりすぎるのを防ぐために、発電を制限あるいは停止することにより、支川水は支川取水口から青橅取水口へトンネルを利用して逆送され、十和田湖に流入する仕組みになっています。

写真4-1-1 十和田発電所 (3本の導水管が見えます)

2.蔦発電所

 蔦発電所は国道103号線の通天橋から蔦川を2km程遡った左岸にあります。発電に利用する水は、蔦川、中里川ならびにその2次支川冷水沢および3次支川湯尻沢の取水口からトンネル(蔦川からの導水路長1km、中里川からの導水路長3km)を通して発電所に送水されます。落差96.8mを利用して発電され(発電機1台、最大出力2,300kW)、水は蔦川に流入します。

3.立石発電所

 法量焼山にある奥入瀬川立石ダム(写真4-3-1)から取水した水は、4.9kmのトンネルを通って奥瀬立石にある立石発電所(写真4-3-2)に送水されます。落差56.4mを利用して発電後(発電機3台、最大出力10,500kW)、水は奥入瀬川に戻されます。

写真4-3-1 立石ダム
写真4-3-2 立石発電所

4.法量発電所

 法量発電所は、法量山ノ下の奥入瀬川左岸にあります。発電に利用する水は、立石発電所から500m程下流の奥入瀬川法量ダム(写真4-4-1)から取水し、3.2kmのトンネルを通って法量発電所(写真4-4-2)に送水されます。発電は34.8mの落差を利用して行なわれ(発電機1台、最大出力6,800kW)、発電後の水は第5章で述べる三本木幹線用水路に流され、灌漑用に利用されます。

 十和田市には上述した4つの水力発電所以外に、第3章十和田市を流れる河川「4.10後藤川」で述べた指久保ダム小水力発電所や第5章奥入瀬川水系の疏水「3.三本木幹線用水路」で述べる稲生川小水力発電所が整備され、再生可能エネルギー発電に寄与しています。

写真4-4-1 法量ダム
写真4-4-2 法量発電所

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