枕石漱流

十和田疏水物語

十和田疏水物語

未来を担う十和田の子どもたちへ


渡辺清隆 著


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奥入瀬渓流にて

まえがき

 疏水とは、灌漑・給水・発電などのために、土地を切り開いて造った水路あるいは用水路のことです。十和田市で有名な疏水といえば、江戸時代末に盛岡藩士新渡戸 傳(つとう)・十次郎親子により造られた「稲生川」です。しかしながら、十和田市には稲生川だけでなく、多くの疏水が流れています。

 十和田市には奥入瀬川水系と砂土路川水系の2つの水系があり、それぞれの水系の主川(主流)・支川(支流)から多くの疏水が引かれています。砂土路川は、本来、小川原湖を含む高瀬川水系の支川で、小川原湖に流入しますが、砂土路川の流域の殆どが十和田市にあることから、本書では便宜的に、砂土路川水系として説明したいと思います。奥入瀬川水系は十和田市の大部分を占めており、主川の奥入瀬川は十和田湖に源を発し、太平洋に注いでいます。八甲田山の山腹を源流とする河川も多くあります。

 十和田疏水物語では、まず、八甲田山や十和田湖(十和田火山)の成り立ちについて簡単に述べ、その後に、十和田市を流れる河川について述べたいと思います。続いて、奥入瀬川や砂土路川、並びにそれらの支川から取水する疏水について説明したいと思います。その他に、奥入瀬川水系の水力発電所や十和田市の名水についても言及したいと思います。

 本書では、写真を多く使い、十和田の魅力を読者の視覚に訴えました。十和田市民特に子供たちが、自分たちの住んでいる土地について理解を深め、愛着を抱くことができれば、近年特に危惧されている十和田市からの人口流出に歯止めがかけられるのではないかと、かすかな期待をもっています。十和田市外あるいは青森県外の人が、八甲田山や十和田湖、十和田市を流れる河川や疏水に興味を抱き、十和田市に移住したいと思ってもらえれば望外の喜びです。

稲生川の天狗山隧道入り口
十和田市街地を流れる稲生川
大光寺堰頭首工(右手奥は奥入瀬川)
相坂平堰記念碑そばを流れる相坂平堰

目次

第1章 八甲田山の成り立ち

 1.南八甲田火山群

 2.八甲田カルデラ

 3.北八甲田火山群

 4.十和田八幡平国立公園

 参考文献

 第2章 十和田湖の成り立ち

 1.先カルデラ期

 2.カルデラ形成期

 3.十和田湖決壊

 4.後カルデラ期

 5.十和田湖のヒメマス

 6.巨大洪水により運ばれた巨礫

 7.モニュメント・オブジェとして利用されている巨礫

 参考文献 

第3章 十和田市を流れる河川

 1.奥入瀬川水系

 2.奥入瀬渓流の支川

 3.奥入瀬川左岸に流入する支川

  3.1 淵沢川

  3.2 中里川

  3.3 熊ノ沢川

  3.4 畑刈川

  3.5 今熊川

 4.奥入瀬川右岸に流入する支川

  4.1 色内川

  4.2 北向川

  4.3 片淵川

  4.4 生内川

  4.5 篠田地川

  4.6 種井沢川

  4.7 切田川

  4.8 藤島川

  4.9 惣辺放牧場

  4.10 後藤川

 5.砂土路川水系

  5.1 砂土路川

  5.2 豊良川

  5.3 樋口川

  5.4 八斗沢川 

第4章 奥入瀬川水系の水力発電所

 1.十和田発電所

 2.蔦発電所

 3.立石発電所

 4.法量発電所 

第5章 奥入瀬川水系の疏水

 1.三本木原台地

 2.稲生川

 3.三本木幹線用水路

 4.稲生川および三本木幹線用水路の支線用水路

  4.1 深持用水路

  4.2 元村用水路

  4.3 切田用水路

  4.4 渋沢用水路

  4.5 一本木沢用水路

  4.6 一本木沢ビオトープ

  4.7 沖山用水路

 5.法量堰

 6.十二里堰

 7.赤石堰

 8.奥瀬堰

 9.新田堰

 10.相坂平堰

 11.赤沼堰

 12.沢田下川原堰

 13.南川原堰

 14.大光寺堰

 15.古渕堰

 16.下田堰

 17.大畑野堰

 18.太田川原堰

 19.小増沢堰

 20.切田後平堰

 21.岩船堰

 22.種原堰

 参考文献 

第6章 砂土路川水系の疏水

 1.大沢田堰

 2.立崎堰 

第7章 十和田市の名水

 1.白上の湧水

 2.沼袋の名水

 3.桂水大明神の水

 4.キッコイジャの水

 5.落人の里の水

 6.向切田古川(明神堰)の湧水

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